発達障害で仕事が覚えられない。記憶に頼らない手順の作り方
発達障害で仕事が覚えられないと感じるとき、そのつまずきを記憶力だけの問題にせず、仕事の渡され方から整理します。口頭の指示を手順書に変える方法と、AIに手順書を作らせる具体的な指示文を紹介します。
このページには広告を含みません。当サイトの収益方針は広告掲載についてに記載しています。
目次を開く
何度も説明してもらったのに、次の日になると手順が抜けている。前にも聞いた気がして、もう一度聞くのが怖い。メモは取っているのに、必要なときに必要な場所が見つからない。
見るのは、仕事がどの形で渡され、どこで情報が消えているかです。口頭の説明を短く残し、AIまたは自分の手で手順に整え、次回の作業で直します。
覚えられないのは、渡され方の問題かもしれない
「仕事を覚える」と言っても、実際にはいくつかの作業が混ざっています。
- 説明を聞く
- やる順番を理解する
- 例外や注意点を見分ける
- 必要なときに記録を探す
- 実際の画面や道具を使って再現する
このどこか一つで止まっても、周りからは「覚えていない」に見えます。たとえば、説明は理解できていても、翌日にメモの場所が分からなければ作業は始まりません。通常の手順は分かっていても、例外だけ口頭で追加されたら迷います。
特につらいのは、説明を聞きながら操作もしなければならない場面です。画面を追い、相手の話を聞き、メモを取り、分からない点を考える。四つを同時に行うので、どれかが抜けても不思議ではありません。
聞いたことを頭に置いたままにせず、作業の外へ出します。
口頭の仕事は、その場で一行にする
長い手順書を最初から作ろうとすると、それ自体が新しい仕事になります。最初に残すのは一行で十分です。
説明が終わったら、次の形で復唱します。
今日はAの一覧を開き、未処理のものだけ確認して、15時までにBさんへ送る、で合っていますか?
口頭で返すだけでも確認になりますが、できればチャットやメールにも残します。
先ほどの説明について、私は「Aを開く→未処理を確認→15時までにBさんへ送る」と理解しました。違うところがあれば教えてください。
この一行には三つの役割があります。
- 自分が理解した順番を確認できる
- 相手が訂正できる
- 翌日に検索できる記録が残る
全部を書き取る必要はありません。最初は「何を」「どこまで」「いつまで」の三つだけ残します。細かい操作は、実際に作業しながら足していきます。
その場で文章にできないときは、単語だけでも構いません。
A一覧
未処理だけ
15時
Bさん
送る前に件数確認
この断片を、あとで手順へ変えます。ここでAIを使うと、文章を一から組み立てる負担を減らせます。
AIに手順書を作らせる
AIへ渡すのは、自分が持っている断片メモです。事実を考えさせるのではなく、並べ替えと不足の発見だけを任せます。
生成AIとは、入力した指示に応じて文章などを作るAIです。会社が利用を認めていることを先に確認してください。顧客名、取引先名、個人情報、未公開の数字、社内資料の本文は入れません。会社の許可や入力情報については、会社でChatGPTを使う前の確認でも整理しています。
ここから出てくる「プロンプト」は、AIにコピーして渡す指示文のことです。
プロンプト1:断片メモを手順にする
次のメモを、次回の自分が見て作業できる手順に直してください。
条件:
- メモにない事実は足さない
- 1つの手順には1つの動作だけを書く
- 「開始前」「作業中」「完了前」の3つに分ける
- 分からない部分は推測せず、【要確認】と書く
メモ:
[固有名詞を伏せたメモを貼る]
AIは、社内だけで通じる言葉や画面の位置を知りません。【要確認】が付いた場所を人に聞き、実際の操作に合わせて直します。
プロンプト2:足りない前提を探す
次の作業手順を読んで、初めて作業する人が止まりそうな点を挙げてください。
「いつ始めるか」「どの画面を開くか」「完了の条件」「例外」「困ったときの確認先」
の5項目に分けてください。
答えを推測しないでください。書かれていないことだけを質問の形にしてください。
手順:
[手順を貼る]
ここで出た質問を全部聞く必要はありません。今日の作業に必要なものだけを選び、まとめて確認します。
プロンプト3:次回用のチェックリストにする
次の手順から、作業中に見る短いチェックリストを作ってください。
条件:
- 8項目以内
- 各項目は20文字程度
- 順番を変えない
- 数字、宛先、締切の確認を最後にまとめる
- 新しいルールは足さない
手順:
[確認済みの手順を貼る]
詳しい手順書と、作業中に見るチェックリストは別物です。詳しい説明を毎回読み直すと、必要な一行を探すだけで疲れます。日常では短い一覧を使い、迷ったときだけ元の手順へ戻ります。
手順は分かるのに抜けや間違いが残る場合は、覚え方とは別に確認する場所があります。仕事のミスが多いときの整理方法で、引き継ぎ、数字、締切、確認のどこで止まっているかを分けられます。
一度作った手順は、次から使い回す
手順書は次の作業で使い、止まった場所を直します。
作業後に三つだけ追記します。
- どこで止まったか
- そのとき何を確認したか
- 次回は何を先に見ればよいか
たとえば「送信前に件数が合わなかった」なら、チェックリストへ「一覧の件数と添付の件数を比べる」を足します。「Bさんが不在だった」なら、代わりの確認先を手順書へ足します。
毎回一つずつ直せば、手順書は実際の仕事に近づきます。
保存場所も一つに決めます。メモアプリ、社内Wiki、許可された共有フォルダなど、会社のルールに合う場所を選びます。ファイル名は「日付」より「作業名」を先にすると探しやすくなります。
請求書送付_手順
在庫確認_チェックリスト
週次報告_確認事項
「どこに書いたか分からない」を減らすことも、覚える負担を減らす仕組みの一部です。
最初の一週間は、一つの仕事だけで試す
覚える仕事が多いと、全部の手順書を作りたくなります。けれど、作成と整理で一日が終わると続きません。最初は、週に二回以上行う仕事を一つだけ選びます。
一日目は、口頭説明を単語で残します。二日目は、そのメモを見ながら作業し、止まった場所へ印を付けます。三日目にAIまたは自分の手で順番を整え、四日目は短いチェックリストだけで作業します。五日目に、使わなかった項目を消します。
月:聞いた内容を単語で残す
火:メモを見て作業し、止まった場所に印
水:手順を「開始前・作業中・完了前」に分ける
木:短いチェックリストで試す
金:不要な項目を消し、足りない一行を足す
手順が変わる仕事なら、最終更新日を上に書きます。古い手順を使う事故を防げます。
画面の場所まで書きすぎない
「右上の青いボタン」のような記録は、画面が変わると使えなくなります。可能なら、ボタンの名前やメニュー名を書きます。
弱い記録:右上を押す
残りやすい記録:「未処理を表示」を押す
会社のルールで許されているなら、自分用の画面画像を使う方法もあります。ただし、顧客情報や個人情報が映る画像を個人の保存場所へ置かないでください。保存先と共有範囲を先に確認します。
聞き直しづらいときは、質問をまとめる
同じことを何度も聞くのが怖いと、一人で止まる時間が長くなります。質問する回数をゼロにするより、聞き方を整えたほうが現実的です。
一つ分からないたびに声をかけるのではなく、記録へ【要確認】を付けておきます。区切りのよいところで、二つか三つをまとめて聞きます。
手順を自分用にまとめています。次回から一人で進められるように、3点だけ確認させてください。
この前置きがあると、「覚えていないからまた聞く」ではなく、「再現できる記録を作るために確認する」と伝わります。
質問には、自分の理解も添えます。
Aの場合はBへ送り、Cの場合は送らない、という理解で合っていますか?
「どうすればいいですか?」だけより、相手は違う部分を短く直せます。自分の記録にも、そのまま答えを足せます。
ただし、質問したことで責められる、説明が毎回変わる、確認した記録を残すことまで嫌がられる職場では、聞き方だけで解決しないことがあります。
AIでは解決しない部分もある
AIは、メモを並べたり、質問の形にしたりすることはできます。けれど、職場の正解は知りません。
- その会社で生成AIを使ってよいか
- どの情報を入力してよいか
- 今日の例外を誰が決めるか
- どの仕事を先にするか
- 説明と実際の運用が違う理由
これらは、会社のルールや人への確認が必要です。AIの答えを根拠に仕事を進めないでください。発達障害と仕事とChatGPTの記事にも、AIが役立つ場面と役立たない場面、入力前の注意をまとめています。
設定で会話をモデル改善へ使わないようにできる場合がありますが、設定を変えても会社の規程は変わりません。使う時点の公式案内も確認します。
自分の工夫だけでは抱えきれず、在宅勤務や外部の支援も含めて考えたいときは、就労移行支援と転職エージェントの違いで現在地を整理できます。診断名ではなく、応募へ進めるか、通所できるか、在宅を望むかで分けています。
AIへ貼る前の30秒確認
入力欄へ貼り付ける前に、次の五つを見ます。
□ 人の名前がない
□ 会社名・商品名がない
□ 本物の金額や件数がない
□ 社内URLや認証情報がない
□ 会社が利用を認めたアカウントである
一つでも迷ったら入力しません。AIの出力を手順書へ写すときは元のメモを残し、「AIが整えた案」「人に確認した最終版」と分けます。
仕組みを作っても減らないなら、環境を見る
一行で復唱する。手順書を作る。チェックリストを使う。質問をまとめる。ここまで試しても消耗が減らないなら、個人の工夫だけで受け止められる範囲を超えているかもしれません。
たとえば、次の状態です。
- 指示が人によって毎回変わる
- 記録を残しても後から否定される
- 質問できる相手が決まっていない
- 割り込みが多く、手順どおりに進める時間がない
- 新しい仕事が増え続け、整理する時間がない
この場合は「もっと覚える」より、職場の条件を整理します。ADHDで仕事が続かない記事では、割り込み、曖昧な指示、入社直後の受け入れ方などを分けています。診断名にかかわらず使える見方です。
相談するときは、困った気持ちだけでなく、試した仕組みと残った問題を一緒に出します。
手順を一行で復唱し、チェックリストも作りました。ただ、作業中に変更が口頭で入ると、どの版が正しいか分からなくなります。変更点をチャットにも残す方法を相談できますか?
ここまで書けると、「覚えられない」という広い悩みが、「変更の記録が残らない」という話し合える問題に変わります。会社が方法を一緒に考えるかどうかも見えます。
まだ転職を決める段階でなくても、働きづらさを整理するページから、今の職場で変えられる条件を探せます。
今日聞いた仕事を一行で残し、次回使える形へ直します。
このページの情報源
- 日本ディープラーニング協会『生成AIの利用ガイドライン』二次情報
確認日:2026年8月28日
組織で生成AIを利用するときのルール作りと、入力情報に関する注意を確認 - OpenAI Help Center『データコントロールに関するFAQ』一次資料
確認日:2026年8月28日
会話をモデル改善に利用するか選べる設定と、一時チャットの扱いを確認
数字の扱い方については情報源とこのサイトの作り方に書いています。
