退職の伝え方。上司に切り出す順番と、言えないときの選択肢
退職を決めたものの、上司への第一声が出ない人へ。今日使える切り出し方、伝える順番、引き止められたときの返し方、口頭が難しい場合の代替手段、公的な相談先を簡潔に整理します。
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退職することは決めた。それでも、上司へ何と言えばよいか考え始めると手が止まることがあります。
長い説明を用意する必要はありません。最初に伝えるのは、退職する意思が固まっていることと、退職希望日の二つです。退職理由の詳しい説明や引き継ぎの相談は、その後に分けられます。
この記事では、今日使える第一声から、口頭で伝えることが難しい場合の選択肢までを順番に整理します。まだ退職するか迷っている段階なら、先に仕事が続かなくなる条件の整理をすると、今の職場で変えられることと、変えにくいことを分けられます。
最初の一言は「相談があります」だけでよい
いきなり退職理由を話し始める必要はありません。まず、直属の上司と二人で話せる時間を取ります。
お話ししたいことがあります。今日か明日、10分ほどお時間をいただけますか?
予定表やチャットで面談を頼む場合も、詳しい用件まで書かなくて構いません。周囲に人がいない場所か、一対一のオンライン面談を選びます。
面談が始まったら、結論から伝えます。
退職することを決めました。○月○日を退職希望日として、手続きを進めたいです。
「辞めようか迷っています」と相談すると、配置変更や引き止めの話になりやすくなります。意思が固まっているなら、相談ではなく決めたこととして伝えます。
退職を伝える順番は5段階
-
契約と手続を確認
無期・有期、申出期限、指定書式を見る
-
上司へ時間をもらう
原則は直属の上司。難しければ人事などへ
-
意思と希望日を伝える
退職の意思と退職希望日を短く伝える
-
引き止めと引き継ぎを分ける
意思は変えず、退職日と引き継ぎを相談する
-
文面と記録を残す
書面を提出し、日時・相手・希望日を残す
1. 雇用契約書と就業規則を確認する
最初に見るのは、雇用契約に期間の定めがあるか、会社の退職手続がどう定められているかです。確認する項目は三つだけです。
- 無期契約か、有期契約か
- 退職の申し出をいつまでに行う決まりか
- 退職願・退職届など、会社指定の手続があるか
退職を申し出る期限は、全員が同じではありません。厚生労働省の解説では、無期労働契約は民法第627条に基づく退職のルールが示される一方、有期労働契約の契約期間中は別の扱いです。有期契約には、契約期間や働き始めてからの期間による例外もあります。
そのため、契約期間がある人は「誰でも2週間前に言えば辞められる」と決めつけず、契約書を確認してから希望日を伝えます。自分の場合の扱いが分からなければ、記事後半の公的窓口へ先に相談できます。
2. 直属の上司へ時間をもらう
通常は、日々の業務を管理している直属の上司へ先に伝えます。ただし、その上司から強く威圧されている、面談を繰り返し断られる、連絡すること自体に危険を感じる場合まで同じ順番にこだわる必要はありません。人事、社内の相談窓口、さらに上の責任者へ連絡する方法があります。
3. 意思と希望日を短く伝える
必要なのは、退職の意思と希望日です。詳しい退職理由を話したくない場合は、短く留めます。
個人的な事情です。詳しい説明は差し控えますが、退職の意思は変わりません。
不満を全て伝える場にすると、話が「辞める手続」から「不満を解決できるか」に移ります。改善交渉ではなく退職を伝える場なら、結論へ戻します。
4. 引き止めと引き継ぎを分ける
引き止められたときは、相手の提案を一つずつ反論する必要はありません。
お気遣いありがとうございます。ただ、退職の意思は変わりません。退職日と引き継ぎについて相談させてください。
「後任が決まるまで」「この案件が終わるまで」と言われた場合も、その場で期限のない約束はしません。退職希望日までにできる引き継ぎを書き出し、残りを会社と確認します。
5. 伝えた内容を文面で残す
口頭で伝えた後は、会社の手続に沿って書面やフォームを提出します。口頭でも退職の意思は伝えられますが、東京労働局は「言った・言わない」の行き違いを防ぐため、書面による退職届が一般化していると説明しています。
少なくとも、伝えた日、相手、退職希望日、次に行う手続は自分用の記録に残します。
口頭で伝えるのが難しい場合
対面で言えないことと、退職を伝えられないことは同じではありません。負担が少ない方法へ一段ずつ変えられます。
面談依頼だけをメールやチャットで送る
第一声が出ない場合は、話す時間を取るところまで文面にします。
退職についてお伝えしたいことがあります。口頭で切り出すことが難しいため、先に文面で失礼します。○月○日を退職希望日として手続きを進めたいです。面談可能な時間をご指定いただけますか?
オンライン面談や人事同席を頼む
同じ部屋で一対一になることが負担なら、オンライン面談や人事担当者の同席を頼みます。何を話すかは、手元のメモをそのまま読んでも構いません。
文面で意思を伝え、記録を保管する
上司が面談に応じない、話すと意思を遮られるという場合は、退職する意思と希望日を明記した文面を送り、送信記録を保管します。会社指定の書式や提出先がある場合は、その手続も確認します。
第三者へ相談する
自分で会社と連絡を続けることが難しいときは、労働組合、弁護士、退職に関する民間サービスなど、第三者へ相談する方法もあります。民間サービスは、運営主体によって対応できる範囲が異なります。未払い賃金や損害賠償などの争いが既にある場合は、誰が交渉や法律相談に対応できるのかを確認してから選びます。
この記事から特定の退職代行サービスへは案内しません。まず、自分に必要なのが「連絡の代行」なのか、「会社との交渉」なのか、「法律相談」なのかを分けることが先です。
会社が受け取らない、話が進まないとき
退職を伝えても、面談を先延ばしにされる、書面を受け取ってもらえない、希望日の話へ進まないことがあります。この状態では、同じ説明を繰り返すより、記録と相談先を確保します。
- いつ、誰に、何を伝えたかを残す
- 雇用契約書と就業規則を手元に置く
- 会社へ送った文面と返信を保存する
- 契約期間と希望日を公的窓口へ伝えて相談する
連絡せずに出勤を止めると、貸与品、引き継ぎ、退職日などの確認がさらに難しくなります。自分だけで進められない段階になったら、先に外部へ相談します。
無料で使える公的な相談先
総合労働相談コーナー
厚生労働省の総合労働相談コーナーは、職場のトラブルについて、電話または面談で相談できる窓口です。利用は無料・予約不要で、各都道府県労働局や労働基準監督署内などに設置されています。
相談するときは、「退職できるか」だけでなく、次の情報を伝えると状況を分けやすくなります。
- 無期契約か有期契約か
- 契約期間と働き始めた日
- 就業規則に書かれた申し出期限
- 会社へ伝えた日と、返された内容
- 希望する退職日
労働条件相談ほっとライン
平日の日中に相談できない場合は、厚生労働省委託事業の「労働条件相談ほっとライン」があります。無料・匿名で、全国から電話できます。
- 電話:0120-811-610
- 平日:17時〜22時
- 土日・祝日:9時〜21時
- 12月29日〜1月3日は休み
受付情報は2026年8月28日に確認しています。利用前に公式案内で最新情報を確認してください。
今日やることは一つでよい
退職手続の全てを今日終わらせる必要はありません。最初の一歩は、雇用契約書と就業規則を開くか、上司へ面談依頼を送るか、そのどちらかです。
面談で読む文章は、次の二文で足ります。
退職することを決めました。○月○日を退職希望日として、手続きを進めたいです。
説明しきれなかったことは、その後に文面で補えます。まず、退職の意思が相手へ届く形を一つ作ってください。
このページの情報源
- 厚生労働省「令和7年度 労働契約等解説セミナー テキスト」一次資料
確認日:2026年8月28日
無期労働契約と有期労働契約で退職のルールが異なること、就業規則の確認が必要なことを確認 - e-Gov法令検索「民法」一次資料
確認日:2026年8月28日
第627条・第628条の雇用契約の解約に関する規定を確認 - e-Gov法令検索「労働基準法」一次資料
確認日:2026年8月28日
第137条の有期労働契約に関する例外を確認 - 東京労働局「しっかりマスター 労働基準法―退職・解雇編―」一次資料
確認日:2026年8月28日
口頭でも退職意思を伝えられるが、行き違いを防ぐため書面が一般化していることを確認 - 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」一次資料
確認日:2026年8月28日
職場のトラブルを対象とする無料・予約不要の面談または電話相談であることを確認 - 厚生労働省「労働条件相談ほっとライン」一次資料
確認日:2026年8月28日
電話番号、受付時間、無料・匿名で相談できることを確認
数字の扱い方については情報源とこのサイトの作り方に書いています。
